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大阪地方裁判所 昭和41年(ワ)3383号 判決

原告 文字きくゑ 外一名

被告 清水元信 外一名

主文

一、被告らは各自、

(1)  原告文字きくゑに対し金一、二一〇、三五二円、

(2)  原告文字克己に対し金一、九五八、二八二円、

および右各金員に対する昭和四一年七月九日から支払いずみまて年五分の割合による金員を支払え。

二、原告らのその余の請求を棄却する。

三、訴訟費用は、被告らの連帯負担とする。

四、この判決第一項は、仮りに執行することができる。

五、被告らが各自、原告文字きくゑに対し金一、〇〇〇、〇〇〇円、原告文字克己に対し金一、七〇〇、〇〇〇円の各担保を供するときは、右各仮執行を免れることができる。

事実

(原告らの申立)

被告らは各自、原告きくゑに対し一、五五〇、〇〇〇円、原告克己に対し三、〇五〇、〇〇〇円、およびこれらに対する昭和四一年七月九日から支払いずみまで年五分の割合による金員を支払え。

(請求原因)

一、原告文字きくゑおよび同克己は、亡文字孝良の妻および子であり、いずれもその共同相続人である。

二、被告株式会社川又運送(以下被告会社という)は、大型貨物自動車大一う七〇一三号(以下本件自動車ともいう)をその業務のため運行の用に供していたものであり、被告清水元信は被告会社に雇傭され自動車の運転に従事していた者である。

三、亡文字孝良は、昭和四一年一月一八日午後五時三〇分頃、第二種原動機付自転車を運転して、大阪市東淀川区西中島一丁目一八八番地先交差点にさしかかり、青信号にしたがい、同交差点を東から西に向けて進行しようとしたところ、被告清水の運転する本件自動車が亡孝良の右側から左折しようとして、亡孝良の運転する前記車と衝突し、本件自動車左後車輪で同人を轢過し、よつて直後に孝良は死亡するに至つた。

四、本件事故は、被告清水が被告会社の業務遂行のため本件自動車の運転に従事していたときに発生したものであり、被告会社は、本件自動車の保有者であるから、自賠法第三条により、被害者孝良の死亡による損害を賠償する責任がある。

また被告清水は、交差点において左折するときは、自車の左側に直進車がないかを確かめ、なるべく左側に寄つて徐行すべき義務があるにもかかわらずこれを怠り、そのために本件事故を起したものである。よつて同被告は民法第七〇九条により、被害者孝良の死亡による損害を賠償する責任がある。

五、亡孝良および原告らは、次のような損害をうけた。

(1)  亡孝良 合計七、八六〇、二〇〇円

(イ) 治療費 六、一〇〇円

(ロ) 得べかりし利益 七、八五四、一〇〇円

亡孝良は、昭和三七年以来日本耐酸工業株式会社の工員として勤務し、本件事故当時平均五五七、二八四円(所得税、市民税控除)の年収があつたから、その生活費相当額年一二五、二九二円を控除すると、年額四三一、九九二円の純収入があつた。当時孝良は四〇才であり、心身に異常がなかつたので、右年令の平均寿命の七〇・八五才まで生存し、そのうち少くとも二〇年間は就労して、前記平均純収入を得ていたはずである。よつて今後二〇年間の純収入の現在額をホフマン式により求めれば、七、八五四、一〇〇円になる。

(2)  原告きくゑ 合計三、八三七、八〇六円

(イ) 相続分 二、六二〇、〇六六円

原告きくゑは亡孝良の妻として、前記(1) の債権の三分の一にあたる二、六二〇、〇六六円を相続した。

(ロ) 固有分 計一、二一七、七四〇円

A、慰謝料 一、〇〇〇、〇〇〇円

原告きくゑは、本件事故により夫を失い、子一人と共に後にのこされた。その精神的苦痛は、少くとも一、〇〇〇、〇〇〇円を下らない。

B、弁護士費用 五〇、〇〇〇円

C、葬儀費用 計一六七、七四〇円

ただし、神津葬儀社へ 一〇六、二〇〇円

寺への謝礼 二〇、〇〇〇円

その他諸雑費 四一、五四〇円

(3)  原告克己 六、二九〇、一三二円

(イ) 相続分 五、二四〇、一三二円

原告克己は、亡孝良の子として前記(1) の債権の三分の二にあたる五、二四〇、一三二円を相続した。

(ロ) 固有分 計一、〇五〇、〇〇〇円

A、慰謝料 一、〇〇〇、〇〇〇円

原告克己は、本件事故により父を失つた。それは当八才の同人にとつて多大の苦痛であり、少くとも一、〇〇〇、〇〇〇円を下らない。

B、弁護士費用 五〇、〇〇〇円

六、以上の損害額のうち、自賠責保険金受領の事実等を考慮し、

(1)  原告きくゑは、相続分二、六二〇、〇六六円の内金一、〇〇〇、〇〇〇円、慰謝料一、〇〇〇、〇〇〇円の内金五〇〇、〇〇〇円、弁護士費用五〇、〇〇〇円の計一、五五〇、〇〇〇円

(2)  原告克己は、相続分五、二四〇、一三二円の内金二、五〇〇、〇〇〇円、慰謝料一、〇〇〇、〇〇〇〇円の内金五〇〇、〇〇〇円、弁護士費用五〇、〇〇〇円の計三、〇五〇、〇〇〇円

および右各金員に対する本件訴状送達の翌日たる昭和四一年七月九日から支払いずみまで年五分の割合による遅延損害金の支払いを求めるものである。

(被告らの答弁)

一、認否

(1)  請求原因第一、二項は認める。

(2)  第三項中、事故のあつた事実および日時場所は認めるが、被告側の車が亡孝良の車と衝突したことは否認する。孝良が死亡した事実は認めるが轢過は否認する。

(3)  第四項中、本件事故が被告清水の業務従事中に発生したこと、本件自動車を被告会社が保有していることは認めるが、被告清水の過失については否認する。

(4)  第五、六項は争う。

二、抗弁

(1)  被告清水は、本件事故現場を左折する際、次のように十分注意義務を守り無過失であるから、被告らに責任はない。

(イ) 被告清水は、本件自動車を運転し、本件事故交差点にさしかかつたところ、交差点手前で赤信号のため先行車が多数停車していたので減速しながら進行し、

(ロ) 交差点より約三五、五メートル手前で左折の方向指示器を点滅させ後続車にその旨警告しながら、

(ハ) 交差点手前二九、二メートルで停車したが、青信号になつたので、先行車に続いて発進し、

(ニ) 実況見分調書(乙第一号証)添付図面の(3) 地点まで来た。その際の車の位置は、本件事故現場車道の端より約二、五メートルのところにあつた(同調書の車道端から車までの距離は車体左端から運転席までの距離一、五メートルを計算に入れていない)。すなわち本件自動車は、道路端から約二、五メートルのところを走行して(3) の位置まで来たとき、被告清水は、左折すべく左後方をバツクミラーで確かめ、時速二〇キロメートルで左折を始めた。

(ホ) そこから九、六メートル左折進行した前記図面(4) 地点で被告清水は、車体左側前部のバツクミラーで約一三、五メートル後方より進行する亡孝良の原動機付自転車を認めたが、先に左折し得ると考え、

(ヘ) 六、八メートル進行した(5) 地点で自車後方で接触音を聞いたのである。

(ト) 以上のように、被告清水は、左折するに際し、方向指示を行いかつバツクミラーで自車左側に並進車のないことを確かめ、時速二〇キロメートルで左折したのである。ところで現場左折方向の道路は、新淀川大橋にかかり、上り勾配のうえ、当時は片側一二メートルのうち中央線寄りの六メートルしか通行できず急に狭くなつている。したがつて、本交差点を左折する場合、東西道路の片巾八、六メートルの中央部分附近から左折せざるを得ず、したがつて被告車は、法規要求どおりにできるかぎり左側に寄つていたのである。

だから被告清水が前記図面の(3) の地点で左折を開始しようとしたことには過失なく、その地点で十分に安全を確かめて左折を始めた以上、他車において事故を避けるべく注意せねばならない。また(3) の地点でふり返りまたは停車して後方を確認することは、信号機のある地点では事故を誘発し危険であり、被告清水に要求されることではない。

(チ) 本件事故当日は、みぞれまじりの雨が降りかけ、一月一八日であるから相当の寒さであつた。被害者は、みぞれをさけるべく頭をさげ制限時速四〇キロメートルをこえて帰宅を急いでいた。早くから左折指示を出している被告車に同人が衝突したのは、あげて同人の前方不注視によるものと考えねば説明のしようがない。

(2)  損害額について

(イ) 仮りに被告らに責任があるとしても、被害者文字孝良の過失は重大であり、過失相殺さるべきである。本訴は一部請求であり、この場合は、その一部請求額に対して相殺がなさるべきである。そうでなければ、本訴判決後別訴で残額請求がなされた場合、両判決とも相殺分を他に譲る結果となり妥当でない。

(ロ) 被告らは亡孝良の治療費六、一〇〇円を支払つた。

(ハ) 原告らは自賠責保険金一、〇〇五、七〇〇円の給付をうけている。

(原告らの答弁)

被告らの抗弁中(1) はすべて否認する。(2) の(ロ)、(ハ)は認めるが、(イ)は争う。仮りに過失相殺すべきであるとしても、相殺は損害額全部についてなさるべきである。

(証拠)〈省略〉

理由

一、争いのない事実

(1)  原告らが亡孝良の妻子であり、その共同相続人であること。

(2)  本件自動車は、被告会社が保有しており、被告清水は被告会社に雇用されていること、本件事故は被告会社の業務執行中に発生したこと。

(3)  被告清水の運転する本件自動車と孝良の運転する原動機付自転車が接触したこと、これにより孝良が死亡したこと。

(4)  事故発生日時は昭和四一年一月一八日午後五時三〇分頃であり、場所は大阪市東淀川区西中島一丁目一八八番地先交差点であること。

(5)  治療費六、一〇〇円は被告らが支払い、原告らが自賠責保険金一、〇〇五、七〇〇円の給付を受けていること。

二、過失

原告らは、被告清水が本件事故交差点を東から南へ左折するに際し、左側に直進車がないかを確かめ、なるべく左側に寄り徐行して左折すべき義務を怠つたと主張する。そこでいずれも成立に争いのない甲第六、九、一一号証によると、次の事実が認められる。

(1)  被告清水は助手席に岩堀初穂を乗せ、交通量の多い東西車道の中央線寄りを西進し、交差点手前約三五メートルあたりから左折の方向指示器を点滅しながら減速し、赤信号のため停車中の先行車に続いて一旦停車したこと。

(2)  その際車の左側は車道端まで約五メートルの間隔があつたこと。

(3)  まもなく青信号になつたので先行車に続いて発進し、ハンドルを左に切りつつ交差点東側の横断歩道に乗りかかつた頃、車の速度は時速約二〇キロメートルであり、車の左端は車道端から約四メートルの地点にあつたこと。

(4)  被告清水はそのままの速度で左折を続け、約九メートル進行したところで車体左前部のバツクミラーに亡孝良の運転する原動機付自転車が映じたのを発見したが、自車が先に左折できるものと判断し、そのままの速度で進行したところ、まもなく自車左後方で接触音を聞き約七メートル前進して停車したこと。

被告らは、甲第六号証(乙第一号証)の現場見取図記載の事故車から車道端までの距離は、運転席を中心に考えるべきであり、いずれも一、五メートルずつ差引くべきであると主張し、被告清水はこの主張にそう供述をしているけれども、前掲各証拠に照らしたやすく信用しがたく、他にそのように認めるに足る証拠はない。

以上の認定事実にもとづき、被告清水に運転上の過失があつたかどうかを判断するに、自動車運転者が交差点で左折する場合には、できる限り車体を道路左側に寄せて徐行し、かつバツクミラーならびに助手の助けをかりて、左側およびその後方を十分に確認し、直進車があればその進路を妨害しないようにして左折すべき注意義務があるというべきであるから、車道中心線寄りから時速二〇キロメートルのまま助手による左後方の確認もしないで左折した被告清水は右の注意義務を尽くさなかつたものであり(被告らは、本件交差点の道路状況等からして、あらかじめ車道左端に寄り徐行しながら左折することはできなかつた旨主張するが、そのようには認められない)、この点に運転上の過失を認めることができる。

よつて、被告会社は、本件自動車の運行供用者として自賠法第三条により、被告清水は、直接の不法行為者として民法第七〇九条により、いずれも本件事故により生じた後記認定の損害を賠償しなければならない。

三、損害

(1)  亡孝良 合計三、七四四、七六〇円

(イ)  治療費 六、一〇〇円(争いがない)

(ロ)  得べかりし利益 三、七三八、六六〇円

原告きくゑ本人尋問の結果、同結果により成立を認める甲第三号証、成立に争いのない同第四、八号証によると、亡孝良は昭和三七年一〇月一四日から日本耐酸工業株式会社に仕上工兼外交員として勤務し、事故当時四〇才の健康な男性であつたこと、昭和四〇年一月から一二月までの収入は税込みで原告ら主張の五五七、二八四円をこえていたこと、家族は妻きくゑ(三四才)と子克己(八才)があり、右の収入を生活費にあてていたことが認められるところ、昭和四〇年簡易生命表によると四〇才の男性の平均余命は三一・七二年であるから、亡孝良の場合、前記職種および健康状態等を考慮すれば、なお二〇年間は右程度の収入を得ることができたものと推認される。そして、亡孝良の生活費を一・〇とすると、妻きくゑ〇・九、子克己〇・四程度と認めるのが経験上相当であるから、亡孝良の生活費を前記収入の約四〇%とし、年間純利益を三〇〇、〇〇〇円として、左記算式により算定した。

(算式)

三〇〇、〇〇〇円×一二・四六二二(二〇年のライプニツツ係数)

(2)  原告きくゑ 合計一、一七七、二九〇円

(イ)  精神的損害 一、〇〇〇、〇〇〇円

(ロ)  弁護士費用    五〇、〇〇〇円

(ハ)  葬儀費用    一二七、二九〇円

以上のうち(イ)は前出すべての事実、(ロ)は経験則、(ハ)は原告きくゑ本人尋問の結果により成立を認める甲第二号証の一ないし七により認定した。

(3)  原告克己  合計一、〇五〇、〇〇〇円

(イ)  精神的損害 一、〇〇〇、〇〇〇円

(ロ)  弁護士費用    五〇、〇〇〇円

証拠は(2) の(イ)、(ロ)に同じ。

四、亡孝良の過失(過失相殺三〇%)

前認定の本件事故の態様から判断すると、亡孝良は交通量の多い東西車道左側を西進して交差点に入るにあたり、右前方を十分注視していなかつたと認めるほかなく、この過失と被告清水の前記過失の割合はほぼ三対七と認められるから、前出損害から発生すべき賠償請求権は各七〇%にあたる左記金額と定めるのが相当である。

(1)  亡孝良      計二、六二一、三三二円

(イ)  治療費         四、二七〇円

(ロ)  得べかりし利益 二、六一七、〇六二円

(2)  原告きくゑ      計八二四、一〇三円

(イ)  慰謝料       七〇〇、〇〇〇円

(ロ)  弁護士費用      三五、〇〇〇円

(ハ)  葬儀費用       八九、一〇三円

(3)  原告克己       計七三五、〇〇〇円

(イ)  慰謝料       七〇〇、〇〇〇円

(ロ)  弁護士費用      三五、〇〇〇円

ところで、被告らは、本件のように一部請求の場合は全損害額でなく請求額から過失相殺をすべきである旨主張するが、民法第七二二条第二項は同法第七〇九条、第七一〇条の例外規定であり、不法行為による損害の発生につき被害者に過失があるときは、現実に生じた損害からその過失の程度に応じた額を控除した残額の限度においてのみ賠償請求権が発生することを定めた規定と解釈すべきであり、原告らの本訴請求も全損害額から発生すべき賠償請求権を本訴請求額の限度で行使する趣旨であると解されるので、原告らの行使する賠償請求権の有無・数額を判断するには、全損害額を審判の範囲内に入れ、その額を基礎とし、被害者の過失を参酌して、それより発生すべき賠償請求権の額が原告らの行使する請求権の額をこえるかどうかを確かめなければならないのである(判例タイムズ二〇二号四八ページ参照)。そして、もし本訴判決後別訴で残額請求がなされたならば、同訴の訴訟物は本訴の訴訟物(原告らの行使した賠償請求権)の額をこえる部分であるから、別訴においても本訴におけると同様に全損害額を認定し、被害者の過失を参酌して、それより発生すべき賠償請求権の額を定め、その額が本訴の訴訟物の額をこえるならば、その超過部分の限度で請求を認容し、こえないならば請求をすべて棄却することになるのである。したがつて、前記のような方法により過失相殺をしても、被告らの主張するように、本訴と別訴の両判決がたがいに過失相殺を他に譲るというような不合理は生じない。

五、原告らの賠償請求権

(1)  原告きくゑ 計一、六九七、八八〇円

(イ)  相続分(妻として三分の一) 八七三、七七七円

(ロ)  固有分 八二四、一〇三円

(2)  原告克己 計二、四八二、五五四円

(イ)  相続分(子として三分の二) 一、七四七、五五四円

(ロ)  固有分 七三五、〇〇〇円

六、填補

治療費六、一〇〇円と自賠責保険金一、〇〇五、七〇〇円、合計一、〇一一、八〇〇円が支払われたことは当事者間に争いがないところ、これらは弁論の全趣旨により、

(1)  治療費四、二七〇円(原告きくゑ三分の一の一、四二三円、原告克己残額二、八四七円)

(2)  葬儀費用八九、一〇三円(原告きくゑ)

(3)  慰謝料のうち請求額をこえる四〇〇、〇〇〇円(原告ら各二〇〇、〇〇〇円)

に充当したのち、残額五一八、四二七円を、原告きくゑの請求権残額一、四〇七、三五四円と原告克己の同残額二、二七九、七〇七円にほぼ按分して充当するのが相当であると認める(充当額原告きくゑに三八%の一九七、〇〇二円原告克己に残額三二一、四二五円)。

七、結論

被告らは、不真正連帯債務の関係で、

原告きくゑに対し、賠償残額一、二一〇、三五二円、

原告克己に対し、賠償残額 一、九五八、二八二円、

および右各金員に対する昭和四一年七月九日から各支払いずみまで年五分の割合による遅延損害金を支払わなければならない。

よつて、訴訟費用の負担につき民訴法第八九条、第九二条、第九三条、仮執行および同免脱宣言につき同法第一九六条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 谷水央)

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